立川演劇祭

 梅雨が明けたそうですね。
8/5(土)と8/6(日)は立川演劇祭の音楽担当として
ぼくの所属するバンド”ブレッキ”で
出演させていただきます。
「ファンタスティック脳内ツアー」という
舞台ですが、コンセプトはプロと市民の融合。
そしてこのステージでは
オペラ、演歌、殺陣、
そしてフラダンスまで飛び出すという。
まさに脳内が斬新にシャッフルされそうだ。
演奏するそれぞれの音楽のテイストも
目まぐるしく大きく変化するので、
たいへんだけど楽しい!?

 この演目を主催しているのは
NPO法人”脳響トーンシステム”。
脳活性化を通して様々な年代の人たちの
心と体の調和のためのリアルで
オリジナルなプログラムを数多く企画。
「音楽のチカラ」を信じ、
実証していく活動を続けています。
立川演劇祭、お気軽にいらしてください。

 「音楽のチカラ」・・・
というものを人生の中で
目の当たりにした経験は、ぼくにも何度かある。
以前、高齢者施設で音楽レクリエーションを
やっていた時のこと。
昼食後に、リズムを使ったゲームをしたり、
リクエストを聞いてギターの伴奏で
みんなで歌ったりしていました。

 そこには、軽重様々な認知症などの
方々がいたわけですが、
それもかなり進行されていて、目も見えず、話せず、
トイレも食事も介助の必要な
1人のおじいさん(90代くらい)が
いらっしやいました。
ぼくは、その方に
「何か歌いたい曲はないですか?」と
耳もとで少し大きめの声で尋ねました。
すると普段、喋れないのにこの時、
小さなかすれる声で
「憧れのハワイ航路・・・」と
答えられたのを聞き逃さなかった。

 ぼくは、どんなリクエストにも対応できるように
iPadに様々な年代に好まれるであろう曲集を
PDFにしていつも持ち歩いています。
そこから「憧れのハワイ航路」の楽譜を
素早く見つけ出し、イントロを弾き始め、
リクエストしてくれたおじいさんに
さあ、どうぞと歌い出しタイミングを
差し出しました。

 いやあ、驚きましたね・・・。
ほとんど記憶も失われ、会話もできないその方は
なんとフルコーラス、完璧なメロディーと歌詞で
歌いきったのです、「憧れのハワイ航路を」!
もちろん、目が見えないので、歌詞カードを
見るわけでもありません。
人間は歳をとっていくと、子どもに回帰していく
ように自分が何者かわからなくなっていくの
だろうか。
人生の中で起こった印象的な多くのこと。
これらの思い出も次第に消えていく。
そして最後に残るもの、それは”音楽”だそう。
メロディーであり、歌の歌詞。

 人間の脳に広がる不思議な世界、
人を人たらしめる最後の砦であった”音楽”。
「音楽のチカラ」・・・に
胸が熱くなったあの時のことは忘れられない。