車から足へ

 ぼくの何度も旅したい国トップ3は、
スペイン、キューバ、ブラジル。
この3つの国の音楽は地理的条件と
人種の混交から
独自の発展を遂げ、
他の国ではみられない強烈な
個性を持っている。
だから、それだけでも何度でも
行きたくなってしまうのだ。
これらの中でも、ぼくのダントツの
リピート回数を誇るのは、
スペイン。
ヨーロッパの西の果て、
ピカソ、セルバンテス、
フラメンコを生んだこの国の
主要地はレンタカーを使ってほとんど訪れた。
レンタカーで効率の良い旅・・・。

何度もスペインでそんな快適な旅を
続けるうちに
ぼくの中に、抑えられないある感情が静かに、
そして強固に育っていた。
海に囲まれたイベリア半島は広大で、
南北にも長大であるから
1つの国といえど、
輝ける地中海、
アンダルシアの燃える太陽、
ドンキ・ホーテが突き進んだ風車、
古のイスラムの名残り、
目を奪われる奇岩の数々、
永遠に続くと思われるオリーブ畑とぶどう畑、
荒涼としたメセタ・・・。
実に雄大で多彩な大自然の表情を見せてくれる。
これらの景観に魅了されっぱなしで、
気づいてみればぼくは何度も
マドリードのバラハス空港に
降り立ってしまう。
ゆっくり歩いたり、立ち止まったりしながら
車ではできない愚直な旅に憧れ始めた。
ピレネーから
サンティアゴ・デ・コンポステーラまで続く
青い空。およそ800キロ。
いくつもの山や尾根を越えると
打ち捨てられたレコンキスタの古城が
遠くに見える。
お腹が空いたら、道沿いにたくましく自生している
イチジクの木から
熟した実を選んで、ちょっと拝借。
そうだ!大好きなスペインを歩いて旅してみよう。
そして始まった、分割巡礼の旅。